イラストでわかる大腸肛門の疾患

イラストでわかる大腸肛門の疾患

イラストでわかる大腸肛門の疾患


肛門症状にどんなものがある?多い症状は痛みと出血です。また肛門から何か出る、粘液が出る、かゆいなどがあります。直腸、内痔核(いぼ痔)痛みを感じない部分(粘膜)、歯状線、痔瘻(あな痔)、外痔核(いぼ痔)、裂肛(きれ痔)、痛みを感じる部分(皮膚)、歯状線より下には痛覚があります。だから裂肛や血栓性外痔核は痛みます。痔瘻も肛門周囲膿瘍になると痛みます
肛門にはどのような病気が多いのでしょうか。患者の85%は内痔核、裂肛、痔瘻。内痔核60%、裂肛15%、痔瘻10%、その他15%、診療ガイドライン(2014年版)

痔核


痔核、内痔核の脱出の程度、Ⅰ度 排便時に出血するが、内痔核は脱出しない、Ⅱ度 排便時に内痔核が脱出するが、排便が終わると自然に戻る、Ⅲ度 排便時に内痔核が脱出し指で押さえないと戻らない、Ⅳ度 排便に関係なく内痔核は脱出しっぱなし、Ⅲ度以上になると手術になります。

痔核の治療法Ⅰ薬(軟膏や座薬)Ⅱ注射療法(パオスレー)Ⅲ硬化療法(ジオン)Ⅳ手術(痔核根治手術)
痔核の出血Ⅰ少量の出血なら効果があるⅡ比較的量が多い出血に用いる(有効率8割くらい)Ⅲパオスクレーより止血効果が高いⅣもっとも止血効果が高い 
痔核の脱出 Ⅰ多くは無効Ⅱ多くは無効 Ⅲ8~9割は治る(1~2割は再発する)Ⅳ全員治る     痔核の治療法の数字が大きくなるほど治療効果が高くなります


ジオンを用いた内痔核の治療法(短期入院)  4段階で注射します。根治的な硬化療法です。①痔核上側の粘膜下層②痔核中央の粘膜下層③痔核中央の粘膜固有層④痔核下層の粘膜下層
内核痔の手術治療(結紮切除術)1週間程度の入院 内痔核は3箇所あることが多く、それぞれを図のように紡錘状に切除します。痔核の根部には動脈が通っており結紮をします。


痔核の術式 結紮切除術 長所 成績がもっとも良く、再発はほとんどない どんなタイプの痔核でも治すことができる 短所 術後の痛みが激しい 術後大量出血の可能性がある(1%)通常一週間くらいの入院が必要 硬化療(ジオン)長所 痛みや大量出血などの合併症が起こりにくい 短期入院(2泊程度)で治療できる短所 外痔核には使用できない再発率が高い(15%くらい)

裂肛


裂肛 始めは単なる裂傷ですが、慢性化とともに、潰瘍、肛門ポリープ・皮垂などができます。さらに進むと裂肛痔瘻や肛門狭窄をきたします ひどくなると排便後も痛みがつづくようになります。肛門ポリープや皮垂が大きくなると脱出するようになります。このような症状がでるといよいよ手術になります。

裂肛の手術(肛門が狭くない場合)A肛門が狭くない場合は裂肛を切除します(裂肛切除術)B肛門が緊張しすぎて、切れ痔になっている人に対しては内肛門括約筋を切開する治療をします(側方内肛門筋切開術LSIS)  裂肛の手術(肛門が狭い場合)肛門が狭い場合は、裂肛切除をした後に肛門を拡張し縫合します。緊張をとるために皮膚を滑らせます(皮膚移行術(SSG))

痔瘻


痔瘻の原因 肛門小窩は肛門に8個~10個程度あります。肛門小窩に菌が入ると肛門腺に感染し膿がたまります(肛門周囲膿瘍)膿が出るとトンネルが形成され痔瘻になります 痔瘻は手術でしか治りません。

痔瘻のタイプ Ⅰ型皮下痔瘻 ⅡL型低位筋間痔瘻 筋間を走行し皮膚に向かう痔瘻 ⅡH型髙位筋間痔瘻 筋間を走行し奥に向かう痔瘻 Ⅲ型坐骨直腸窩痔瘻 深くて複雑な痔瘻 Ⅳ型骨盤直腸窩痔瘻 もっとも深く複雑な痔瘻

痔瘻の診断①指診が基本です②指診だけでは、1次口の正確な位置、痔瘻の深さがわかりにくい③補助診断として肛門検査MRI検査を行います。1次口の位置や痔瘻のtypeを正確に診断できます。
肛門エコー検査 ラジアル画像 経肛門リニア画像2時方向 経皮リニア画像2時→2時

MRI検査 sagittal(T2画像) coronal(T2画像) Axial(T2画像)

肛門内圧検査 痔瘻の手術は肛門括約筋を切る手術 術後の肛門機能低下が起こります。術前後に肛門内圧検査を行い、よりよい治療法を考えています。

痔瘻の治療 痔瘻の治療法(切開開放術) (括約筋温存術)(シートん法)ベッセルテープまたは輪ゴム(シートン)をかける

痔瘻の術式 切開開放術(単純痔瘻に用いることが多い) 長所 再発しにくい 短所 変形しやすい 便が漏れやすい 括約筋温存術(複雑痔瘻に用いることが多い)長所 うまく決まればもっとも変形の起こらない 短所 失敗が多く再発する(15%くらい)最近あまり行わない シートン法(複雑痔瘻に用いくことが多い)長所 再発率が低く(3%くらい)変形も起こりにくい。当院での複雑痔瘻の術式の主流 短所 治るまでに時間がかかる。しばらくゴム輪をつけておくので気になる
大腸肛門科では大腸内視鏡検査に力を入れています


無痛大腸内視鏡挿入法(無送気軸保持短縮法)による検査をしています 直腸固定されている S状結腸ブラブラしている 下行結腸固定されている 大腸内視鏡検査は決して痛い検査ではありません。怖がらずに当科で大腸内視鏡検査を受けてください

ご症状がある場合にはまずはご相談ください。

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